短く深く空気を吸い込んで、
うちの中学伝統のファンファーレを吹く。
毎年、うちの中学の体育祭では
行進曲を吹く前に
ファンファーレを吹く。
ファンファーレは、トランペットが主役。
校庭の奥まで届くように
この空間を、
私のトランペットの音で満たすみたいに
音をとばす。
そして、マーチ。
最初は、トランペットは
出番なし。
クラリネットやサックスが
メロディー。
可愛らしいメロディーを
聞きながら先輩達と考えた物語を
頭に浮かべる。
男の子と女の子の出会いから始まる
物語。
唐沢くんと初めて出会った日が
思い浮かぶ。
そしてトランペットの出番が来て
楽器を構えた。
トランペットがメロディーになる場所は
片想いを楽しんでる場面で
今の私のそのまんまだと思う。
まだ力を全部出し切らないように
気持ちをセーブしながら
心を込めて丁寧に吹いた。
