「みんな好きな人ぐらいいるでしょー?
好きな人のこと思い浮かべて吹いたら
いけるはずだよー!
138小節目から
エンディングまでもう一回ください」
「はい!」
138小節目からは
一番盛り上がるところ。
物語でいう、
女の子が告白して
成功して付き合うことになって
ハッピーエンド。
先輩が手をあげる。
トランペットを構える。
野球部がこっちを見てる。
あっ…
唐沢くん見つけた…。
先輩が指揮を降り始めた。
最初の音を出す。
ff(フォルテッシモ)。
ベルから、私の音がとんでく。
校庭の奥の、もっと向こうまでとんでく。
唐沢くんがきいてる。
唐沢くんに届いてほしい——————
