「顔赤いよーん? 優奈ちゃーんっ?」
「好きなのー? 好きなのー?」
「好きじゃないって!」
……嘘。
私、唐沢くんのこと好きだ。
初めてかんじる気持ちに戸惑って
自分で認めるのが
なんとなく怖くて
うじうじ、ぐだぐだ、遠回り。
でも、何度考えても
いくら遠回りしても
この答えにたどり着く。
————いつから?
さっき、階段で
助けてもらったときから?
重い教科書、持ってもらったとき?
うーん…違う気がする。
私、初めて目が合って
初めて話したあの瞬間から
私、好きだったんだ。
唐沢くんのことが———
何かあるたびにもやもやして
ドキドキして
そっか。こういうことなんだ。
好きになるってこういうことなんだ。