振り向くと、後ろに山下が立っていた。
「ちょっと、急に入ってこないでよ」
「悪りぃ悪りぃ。
てか、愛川って、あいつだろ?」
「ちょっと! 指差さないでよ」
「あいつそんなに可愛いか?」
「可愛いでしょ!
あんなにかわいい子、見たことないから」
「もしかして、山下理想高いの?
あ、舞ちんひとす…」
「黙れ」
そっかそっかぁ。
やっぱり山下には舞ちんしか
見えてないからね。
あんなにかわいい子見ても
何とも思わないんだね。
納得納得。
「あいつ、性格悪そうじゃね?」
「は?」
「ぜってーぶりっこしてるって。
見ててわかんねーの?」
「ただ可愛いだけじゃん?」
「いや! ただの男好きだよ。
あーぁ、唐沢の奴だまされてるよ」
桃香ちゃんが唐沢くんに話しかけていた。
チクッとした。
針でさされたみたいな、胸の痛み。
どうしたんだろう、私、さっきから…
