「おい、山下ー! 聞いてくれよ昨日さー…
…山下? おいっ」




クラスメイトの男子が山下に声をかけるけど
山下は無視。
聞こえてないみたい。




「山下!」



「…あ?」



「…お前どーした?」



「…んでもねぇよ」



「機嫌わりぃなー」



「でなんだよ?」



「何でもねぇわ、やっぱいい」



「…チッ」




「…こわっ…」



山下とその男子は、いつもじゃれあってて
仲がいいはずなのに、
その男子にもそんな態度で。


絶対おかしい。



「しかも舌打ちって…」



「お前らもさっきからごちゃごちゃ
うるせーんだよ!
全部聞こえてんだよ」



「…。 ごめん」



「………」




ついに山下を怒らせてしまった。



私はすぐに謝ったけれど
舞ちんは絶句して、
とても悲しそうな表情をした。



こんなに機嫌が悪い山下を見るのは
初めてだったし
そんな表情をした舞ちんを見るのも
初めてだった。