怖い、とは思わなかった。 見上げるとアツシの顔が目の前にあった。 アツシの唇が静かに近付いて、キスをされたときは、 うれしくて、 うれしくて、 あたしの胸のドキドキ音が、アツシには、聞こえないようにって、 ただ、祈ってた。 記憶が残ってる範囲の中で、 あたしはずっと、 アツシが好きだった。 大好きだった。 あたしは目を閉じて、温かくて柔らかい、アツシの唇に酔いしれた。