あたしもナカノも、学校では毎日会うし、話もするけど、携帯の番号もメアドもお互い知らない。
今日、偶然会っただけで映画を観て、向かい合ってお茶してるなんて、変な感じ。
『そーだ。サエジマ、よかったら携帯の番号、教えてよ。』
オーダーを済ませたナカノがそのことに気付いたらしく、携帯を取り出して言った。
『いいよ。』
アドレスを登録したら、何だか、やっとホントの友達になった気がする。
同じ学校で、わりとしょっちゅう顔を合わせるのに。
『そーいえば、番号も知らなかったんだね。うちらって。』
それを改めて、あたしは口にしてみた。
