エレベーターの中でアツシの背中におでこをくっつけると、


Tシャツから微かに甘い匂いがした。


あたしの知ってるアツシなら苦手だったはずの、香水の匂い。


行きは気付かなかったのに、


あたしは無意識に、彼女の気配を探してた。



 いつの間にか、


 彼女が


 アツシの日常に


 染み付いていたことに、



あたしはようやく気付いた。