これがいわゆる逆ハーなのか!?



後ろからやくざの連中がしつこくついてくる。



「近衛、このままじゃいつか追いつかれるよ!!」

「そうだよ。俺達ただでさえ体力ないんだからさ」


私の腕を握って走る近衛に綾瀬と2人で問いかけた。




「しょうがないだろ!!じゃあ今止まったらどうなんだよ!!」

「あ…俺、ペイント煙玉持ってるけど…」



ボソッと蓮可が呟いた。



「何で持ってるの?ていうかそれ何?」

「ペイントで汚すとともに、この世とは思えない強烈な匂いのする煙が出るたまだよ」

「なかなか鬼畜な爆弾をお持ちで。」


関心してる間もなく、やくざはこっちへ走ってくる。



「とりあえず投げて!!」

「えいっ」



やる気の無さそうな蓮可の掛け声とともに鬼畜弾は投げられた。




すぐ逃げて数十メートル離れたところからでも、
その強烈な匂いはただよってきた。


もちろんやくざも一撃だった。




「効果ありすぎ」



やっと出口、という所で重大な事に気が付いた。



今一緒に走っているのは

近衛、綾瀬、蓮可。




あれ…あの黒豆黒澤は!?




「ねぇちょっと!!黒澤は!?」


「あれ!?黒澤!??」





黒澤がいない!!!!





急いであの強烈な匂いの中に飛び込んでいくと、
鼻を苦しそうに抑えながらヨロヨロと走っている黒澤の姿が。




「くろさ…」



呼ぼうとした瞬間に、黒澤は何かにつまづいてこけた。




「Oh…こけ堕ちた漆黒のBoy…」





「黒澤―――――!!!!」





急いでいつもよりもっと青白くなった黒澤を救出し、
無事に外にでる事ができた。




頑張って家に帰って、みんな服から強烈な匂いを発しながらも

執事たちは疲れたと駄々をこねてテレビをのんびりみていた。