「おねがっしゃぁああーす!!」
突然扉が開いた。
叫びながら入ってきたのは、紛れもなく近衛の姿。
「近衛っ!!」
「あぁ!?嬢ちゃんの男かよ、ただのイケメンじゃねぇかよ」
近衛は黙ってこっちをみていた。
むしろ挙動不審な動きをして、顔が青ざめてきた。
「助けにきてくれたの!?」
「捕まってたの!?」
いや何しにきたんだあんたは。
「何だテメェ!!」
「あ…いやだってバイトの面接あるから…」
まじまじと地図をみる近衛。
「場所間違えたわ…」
ある意味奇跡だ。
「喧嘩売ってんのかぁ?綺麗な兄ちゃん。
この貧乏なお嬢ちゃんどうなってもいいんか!!?」
やくざのおじさんが机を蹴った。
わらわらと近衛以外のメンバーも集まってきた。
「確かに…そいつは不細工だし返せもしない借金もってるけど…」
近衛がやくざに向かってずかずか歩いてくる。
不細工は失礼じゃないかしら。
「それでも一応俺の主人なんだ!!」
そう叫ぶと私の腕を引いて、もうダッシュ。
「逃げるぞ」
初めて近衛がかっこよく見えた。

