私は彼の顔を見た。
うわぁ…目、透き通るように青い…
肌も真っ白。
「はは…」
ふいに彼は笑い出した。
「奇遇ですね…実は私も迷子です」
…………へ?
「あの…何年生ですか?」
「私は今日から2年になります」
…え?
「あの…1年も通っていれば迷子にはならないのでは…?」
わたしが尋ねると、彼は一瞬だけ悲しそうに顔を歪ませた。
「んー…そうですね…」
そして彼はバレバレの作り笑いをした。
なんなんだこの人?
「あっ…あの…」
「はい?」
私はずっと思っていたことを口に出した
「傘に、いれていただけませんか?」
「…ごめんなさい…そういうのは…」
あ…ダメか。
「そうですか…あ、ここどこか分かりますか?」
「わかっていれば迷ってませんよ」
彼は、ははっと笑った。
そうかぁ…この人にはなにを聞いても手がかりにはならない。
「ありがとうございました、では」
私は歩き出した。
うわ…全身ビショビショ…
制服が肌にくっつく感触が不快だ。
「あ、A高校どこ……うんありがとう」
背後から電話をする声が聞こえた。
