七海の笑顔を、私はもう一ヶ月近く見ていない。

でも。

目を閉じれば直ぐそこに七海がいる・・・。

私はただ、本物の七海の笑顔がみたいだけ。

なのにそれを、心に問題があるとしたいのか?


「泉の気持ちも解らないではないわ?でも・・・、このままじゃ泉まで消えてしまうんじゃないかって・・・お母さん不安なのよ」


私の記憶は、全て鮮明に残っている。

でも・・・。

一つだけ、引っ掛かる事がある。

モヤモヤと、雲が掛かったみたいに七海の姿が消える時がたまにあって・・・。

思い出そうとすると、ズキズキと頭が痛む。


「無理に忘れなくていいの。だから・・・病院行きましょう?・・・落ち着くまで学校は行かなくていいから・・・」


震えるようなお母さんの手を、私は振り払う事が出来なかった・・・。