裕也に家迄無理矢理送られて、私は仕方なく明かりのついた家の前に立った。


「怪我の手当は自分でできんだろ?・・・誰かは家にいるだろうし、出来なきゃ誰かにやってもらえ」

「・・・ああ・・・」


心配そうに眉を寄せる裕也は、私が家の中に入る迄は帰ろうとしない。


「・・・なんだよ・・・」

「いや、早く入れって・・・。心配してんだろ」


裕也のしつこさに、私は渋々ドアを開け中に入る。

じゃあな、と言う裕也の小さい声がドアを閉める音に掻き消され、耳元で途切れた。

裕也だって、七海に逢いたいはずなんだ・・・。

でも、裕也の生活は七海がいなくなった事で殆ど変わったりはしてない。

毎日学校に行って、部活に行く・・・。

唯一変わったのは、家に帰宅した後に私を捜しに街に出る・・・ただ、それだけ・・・。

私は別にほって置かれたっていいのに・・・。

裕也は飽きる事なく、私を捜す。

・・・七海じゃなくて、私を―・・・。