おはようございます、こんにちは、こんばんは。
そしてお初にお目にかかります、梅崎雪穂と申します。
この本は私視点で描かれる、「一人ぼっちの中学生」の物語でございます。
一人ぼっちの女子中学生が、一人ぼっちに耐えながら日々生活していく物語です。


梅崎雪穂、性別女。あだ名は「ゆき」。
特徴がないのが特徴の、普通の中学生。

私は、小学六年生の時から、中学生になるという事に少し抵抗があった。
漫画や小説、ドラマなどでよく目にする「いじめ」。
主に、私が見るいじめの舞台は中学校。
中学校!もうすぐその「いじめ」であふれた中学校に毎日通わなきゃいけない!
顔もブサイク、性格もブサイクな私なら、中学生になったと同時にいじめられること間違いなし。
絶対に嫌だ、友達できるかな、仲がいい子と同じクラスになれるかな……?
そんな、脳内に「不安」の二文字を浮かべながら、私は第二東中学校の門をくぐった。

今日は、中学校のクラス発表の日。
私服で、明後日から通う事になる中学校の門をくぐり、人をかき分けながら、半ば強引に表を見に行った私。
……本当は、上原春っていう、小学二年生の頃から仲がいい(?)友達と一緒に見に行く約束をしていたんだけれど、春から連絡が一切ないため、1人で行かざるを得なかった。
別に一人でさびしくない……と心の中では思っていても、周りで楽しそうにはしゃいでいる仲良しグループを見ていて、少し悲しかった。
(私も、一緒に……行きたいとか思ってねえし、わけわかんねーあの裏切り者)
私の友達関係は少し複雑で……ごめんなさい、話しだすと一時間くらいかかってしまうかもしれないので、この話はまた、どこかでしたいと思います。

とりあえず、三、四組の表の前で一人さびしく自分の名前を探していると、
「あ!ゆきっ!」
突然、自分の名前を呼ばれた。このテンション、この声は聞きおぼえがある……。
右を見ると、長い髪を二つ結びにした女の子率いる軍団が、そこにいた。
私の名前を呼んだのは、廣田理香子。
その横にいるのは深沢美織、その他いろいろな人。
二人の名前しか出さなかったのは、これからの物語にこの二人が大きくかかわるから、というのが一つ。
あと、ほかの人はそんなに仲良くなかったから出さなくてもいいかな、という自己判断。
「おー、お二人さん」
「よーっす、ゆき」
左手を挙げてあいさつする美織。ちなみに理香子と美織は幼馴染で、美織には双子の弟がいる。そして、私たち三人は同じマンション(でも塔が違う)でもある。この三人は結構仲がいい。
「あ、ゆき、わたしと同じクラスだよ!!」
「うえぇえぇえぇえぇまぁじでぇかぁァァァァ痛い痛い」
私の両肩を、女の子とは思えない握力で握りしめ前後に揺らす理香子。
理香子と同じクラスか。よかった、仲いい人、ちゃんといた。
「あたしは一組だったあ」
残念、と言いたげに肩を落とす美織。一組は隣のクラスだ。ちょくちょく会いにいけるから、そんなに悲しむことないと思うんだけど。

それから間もなく、二人に相手をしてもらえなくなったので、こんな人が多い所にいるのも嫌なので帰る事にした。一人で。
門を出て、道路を渡ろうとした瞬間、視界に入った二人の女子。
「……あ」
「「………う」」
ひきつった笑みで私を見つめる二人の女子。一瞬目を合わせて、すぐそらして、二人を無視して私は走り出した。

ここで、頼まれてもいないのに私の友人関係を説明します。少しの間、お時間いただきますがよろしくお願いいたします。時間とる分、分かりやすく説明できるようにしたいです。……あれ、作文みたい……。
まあそれはいいとして。

先ほど視界に入った二人の女子、名前は上原春と山根美里。
この二人は、小学生の時仲良くさせてもらった子たち。
その他に、立岩このか、冨岳夏紀、奈良崎美子、あわせて六人は仲良さそうに見えるけど、実際お世辞にも仲がいいと言えない関係である。

みんなは春の事をひどく嫌っていた。
自己中。わがまま。泣き虫。でしゃばり。それだけの理由。
あと、人によって態度を変える。その態度の温度差がハンパじゃない。
一番特別扱いをしているように見えるのは、山根美里。
春は、美里の事を明らかに特別扱いをしている。

そして二番目がなっち。この子は仕方ない。春の幼馴染だし、裏も表も真っ白な天然さんだから。そんな天然さんに嫌われた春は相当性格が悪いという事だ。

三番目が立岩このか。このかは、春と習い事(スイミングスクール)が同じだからだと思う。そんなにキレない。……美子と三人で同じ習い事をしているけど、なぜこのかにだけ優しいのかは不明。人の心ってやっぱわかんない。分かりたくもないけどね。

四番目が私。結構キレられる。そして泣かれる。パシる。扱いが二番目にひどい。
小学二年生からの仲なのに、何故小学四年生の時知り合ったこのかより地位が下なんだろう…。

そして一番扱いがひどいのが……奈良崎美子。美子には何故か扱いがひどい。同じ習い事なのにひどい。夏休み中に起きた、こんな事件がある。

夏休み間中、春と遊ぶのが嫌な美子は、春との遊びの約束をほとんど断っていた。
だがある日、朝八時に携帯に
「今から美子の家行く」
と、たった一文、絵文字も顔文字もデコメも、何もついていない一文が送られてきた。
美子はその時寝てた。休日、平均十一時に起きる彼女は、七時に起きる事はおろか、八時に起きれるわけがない。ラジオ体操なんか行くわけない。
メールが来た時、美子はあせった。着信音で起こされて、誰だよこんな速い時間にメールしてくる人……と苛立ちながら画面を開けばあの一文。
一気に目が覚め、急いで着替えようとした瞬間にピンポーン。
春と対面し、一時からなら遊べる、とりあえず今は帰れという事を遠まわしに言った後、美子はお母さんにかなり怒られたらしい。はた迷惑な話である。

勇気あるな、春……。その勇気が周りを苛立たせることを本人は知らないんだろうけど…。
そして、もうすぐ中学二年生になる私が言える事が一つ。
あの仲良しグループを仕切ってるのは、今思えば春じゃなく、美里だった。

もともと、美里と美子とこのか抜きの四人グループだったんだけど、小学四年生の時ぼっちだったこのかを春がグループに引き込んで、美子が転校してきて仲良くなって春が引き込んで、五年生の時同じクラスになって仲良くなった美里を春が引き込んで六人になった。
なのに、何故かリーダー的存在は美里だった。

美里は一日五回は春の悪口を言い、春が性格良くなって(というか美里に対して最高に特別扱いし始めて)美里は春への陰口をやめた。
次のターゲットは、聞いて驚け、なっちでした。
なんであんないい子が悪口言われるかわからない。ただ一言、美里はなっちをグループから追い出す最低なセリフを言った。

「正直、なっち、どうでもいい」

………。もう驚かなかった、いや、驚きすぎて言葉も出なかったのかもしれない。
その日からなっちは、私たちと一緒に帰らなくなった。
どうでもいいならあだ名で呼ぶの止めろデブ!って言葉が出そうになったけど、咳でごまかした。こんなときでも、気持ちと声は素直だなあ。

次のターゲットは美子。私がこの中で一番好きな、美子だった。
事件は小学六年生、三学期。美子の水筒を美里が奪い、私、春、このか、美里の四人で、あっちこっちと水筒を投げ渡し合いしていたら、美子がとうとう怒ってしまった。
「ごめん、もう帰る」
水筒を置いたまま帰った彼女の背中を、みんなはつまらなそうに見つめていた。
彼女が置いて行った水筒は、ジャンケンでこのかが洗う事になった。

翌日、このかは美子に手渡しするのが嫌だったので、本人の目の前で、美子の教室に向かって水筒を爆笑しながら投げ入れた。
「いやだぁ~っ!ギャハハ」と言っていた。私は語尾を釣り上げる女子が大嫌いだ。何かうざいじゃん?
投げ入れた性格ブス(人のこと言えないけど)二人と、とても悲しい顔をした美子を前に、私は何も言えなかった。
思ったことと言えば、某チョコレートホラー漫画の主人公の魔女の台詞。
愚かなる性格ブス共、黒き闇に落ちて行きなさい……。本当に落ちてくれないかな。

この日から、美子に対する集団無視が始まってしまった。
美里は一日八回は美子の悪口を言っていた。

そして数日たって、このかの悪口が言われるようになった。
ここで一つ気付いたことがある。

春、なっち、美子、このか。全員悪口を言われていて、私だけ言われていないという事は?
あり得ない!絶対言われている、陰で、私の知らないどこかで、みんなで私の悪口を言っているという事だ。
このかは美子のように集団無視されなかった。

一つ問題があった。美子が集団無視される前、私は美子に本を貸していた。
その本は、集団無視されている今でも返ってきていない。
どうしよう、と思っていたら、美子からメールが来た。本についてだった。
今日返すから、暇な時間を教えて欲しいと。
私は、今暇だから美子の家に取りに行くよ、と返信した。
数分後、美子からの返信に、私は言葉を失った。

『私がゆきの家に無理やり言ったってことにして(^ω^)
 じゃないと次はゆきが避けられるよ。
 私の家に行ってるところ見られたらやばいでしょ』

数分後、ロビーで少し会話をして、本を返してもらった。でも、貸してもらったお礼、ということで美子から本を借りた。
「あ、貸したらまた会わなきゃいけないから、貸さないほうがいいか」
と言って、急いで本をカバンの中に入れようとする美子の手をあわててつかんで、
「いや、貸して。私別にばれていいよ、あのグループの中で一番美子を信頼してたもん」

ばれなければ大丈夫、と思いながら、その日から何度か放課後遊んだり、休日に家に遊びに行ったり、遊びに来たりした。
初のお泊り会もして、美子との信頼度がとても増えたけれど。
一章隠せる隠し事なんて存在しない。誰にも言ってはいけない噂だって、誰かが口を滑らせればそこから一気に広がってしまう。
いつばれるか、今は分からないけれどね。

というわけで、友人関係の説明でした。
ふう、もうちょっと簡潔にすればよかったかな。
こんなダラダラ綴ってたら読むほうも疲れてきますよね。ごめんなさい、疲れた方は小休憩なさってください、無理は禁物です。

要するに、最初四人だった私たちのグループに美子と美里が入ってきて、なんだかんだでなっちがグループから追い出され、美子が避けられた。
私は春やこのか、美里に内緒で現在も美子との仲を続行中、という事です。

これから、私の周りは大きな変化を遂げて遂げて変わりまくって、最終的に私は一人ぼっちなのか、友達たくさんなのかは、未来予知能力がない私にはわからないけれど。
このぼっちの日常、しばし付き合ってもらえれば幸いです。