『あ、そうだ先生?
お弁当箱と、屋上の鍵
ありがとうございました!
すっかり忘れてて、すみません』
先生に私は言った。
『あ、ああ!いいよ?
残りの卵焼き二つ!
うまそうだったから食ったし!』
『あはは!全然いいですよ?』
そして、先生は少し真面目な顔になって
話を切り出した。
『なあ、羽鳥?』
私も唾を飲んで
返事をした。
『はい?』
『聞こうか迷ったんだけど、
親御さんのこと、、。
大丈夫か?』
"大丈夫か?"
その一言に、先生の愛が
どれだけ詰まっているか、
私には痛いほどわかる。
『はい。お陰様で。
わたし、あの日先生に
話して良かったって
思ってます。』
『そっかあ』
『はい。ありがとうございました。
教師になっても、先生には
助けられてます。』
私は精一杯の感謝の気持ちを
先生に伝えた。
『あぁ、いいんだよ?
お前が俺の生徒だったことは
変わらない事実なんだから。』
それは嬉しい言葉でもありながら、
お前は永遠に俺の生徒。
残酷な言葉にも聞こえた。
『はい、、、。ありがとうございます』

