先生に逢いに行く。

『羽鳥ぃー、お前全然動けるな!
今でも。』


部活が終わって、
廊下を歩きながら

工藤先生は私に言った。


『いえ、もう、だいぶ
衰えましたよ?』


『そぉかあー?』


なにもかも、
懐かしい。


バスケを、した日々も、

この校舎すら

私には懐かしいから。



『先生?覚えてます?
一対一で、勝負した時のこと。』



『あー!あったな!
お前が負けたら、黒染めしてこい!
ってやつな!』

懐かしそうに先生もはなしてる。


『そおです、そおです。』


『でも結局お前に負けたんだよな!
俺。』


先生は笑って話してる。
私も思い出して笑う。


『あはは。そうでしたね!』


『でもどうして、お前勝ったのに
髪、元に戻して来た?』

ー黒染めしたの?なんでだ?ー

あの日も同じこと聞かれたけど
わたしは答えなかった。


『んー、わかんないです!』


先生に言った答えは
あの日とおなじ。

ーわからない。ー



先生はあの日も今日も

『なーんだ!まだ、秘密かよ?』

ーなーんだ!おしえてくんねえの?ー


おんなじ反応。




私たち変わらないのかな?