「あんパン」と言う一単語で僕に命令を下したしーちゃんはひとり部室に残りそして僕は、8月の猛暑の中購買へと彼女の為のあんパンを買いに歩く。
不公平だ、と思うのはきっと僕だけで、彼女はそんな事を毛頭思っちゃいない。だって彼女の生きる世界は僕のそれとは全くの別物で、彼女の世界の中心はいつだって彼女なのだから。

今日は珍しい事に、しーちゃんの機嫌が良かった。いつもの彼女と比べての話、だが。
だから僕はいつもより少しだけ急いであんパンを二つ、僕としーちゃんの分を購入し、いつもより少しだけ急いで部室に向かう。機嫌の良いしーちゃんを見るのは、僕は好きだ。