[翔side]
俺たちは近くのカフェに来た。
桃花と宮野は注文しに
カウンターへと行った。

佑季。
そう、この人は―――。

「佑季…
 本当にごめん。
 あの時は、栞里守ってやれなくて。」
「翔のせいじゃないよ。
 あれは、栞里が自分から
 したことだから。
 まだ、生きてるしな。」

そう…佑季。
神崎佑季は、神崎栞里の兄なんだ。
苗字同じだしな。

「でも、俺は…」
「元はといえば、大人が
 "財閥"という位に囚われすぎなんだよ」

佑季…震えてる…。

「なんで、俺は栞里を守れなかった…。」
「佑季、あのさ。
 栞里から、伝言頼んでるんだ。」
「??」
「…お兄ちゃんにもう一度会いたかった。
 って。」
「…栞里。俺もだよ。
 早く目を覚まして。
 一緒に話そう…。」

佑季はちょっと泣いていた。
でも、それだけ栞里のこと
思ってたんだ。
良かったな、栞里―――。