「行かないで、欲しい。


 いつかこの感情、

 なくなるよね。


 いっそのことなくして

 しまおうか…。」




「なくすな。

 なくしちゃだめ。」


気付くと目の前には翔がいた。


ああ、
なんでいつも悲しいとき来るの??


「いや…。
 だって、つらいもん。
 …苦しいもん…。」


「これは俺のわがまま。
 
 でも、忘れないで欲しい。


 俺が…

 俺の初恋は桃花だったことを。」


「うう…知らないよ~

 そんな…の、初めてで
 今まで一回も…。

 だって翔は彼女いて…。」


「俺、神崎栞里(カンザキ・シオリ)っていう
 幼馴染がいて。
 本当は恋愛感情なんかないんだ…

 ただ、彼女…俺の幼馴染は
 一人で。

 家庭がいろいろ複雑で…。


 それで、俺がずっといてやるって
 約束したんだ。

 だから、俺…

 

 彼女に会ってくるよ。


 だから、それまで待っていて欲しい。


 帰ってきたら…ちゃんと言うから。」


「…ぅん。待ってる!!」


「ありがとな。

 んじゃ、行ってくる。」



「いってらっしゃい!!」


「おう!!行ってきます!!!」



これが、翔とは高1最後の会話だった。