最後の雨

でも心の隅ではこのままあなたを好きになっていていいのかな…



そんなことを思ってた…



私はあとどれくらいあなたに好きと言えるのかわからないから



わずかな時間さえも愛しく思って、あせって生きてしまいそうだよ…




あなたを置いて私は死ぬ




あなたが苦しくても私は支えてあげられないんだ






「今日は外に出かけないの?」



ほかの患者さんもおきてきて、病室には明かりがともりさっきまでのもの悲しさがウソのようだった。



恭介はまだ眠たそうな目で私を見て聞いてきた。



「せっかくの雨だしどこかにいきたいね」



私は笑顔で言うとパジャマの上に上着をはおった。


「苦しくない?大丈夫?」


心配そうな恭介に大丈夫だよといってベッドから降りた。


外に出ると少し寒い気もして、体を縮こませていると恭介がとなりから自分の上着をかけてくれた。


まだぬくもりがあってやさしい気持ちに包まれているみたいだと思った。

いつも二人でどこかにいく時はたいてい雨の日だった。



そして私はいつもパジャマで車からは降りずに外の空気をすっていた。



気持ち良いけどこの地面に足を思いきり踏み出してみたいな。



たくさん知っていた小さい頃の土の感触もとうの昔に忘れてしまったような気がする……




『可代。お花の冠作ろうよ』


そう言ったのは誰だったっただろう

恭介じゃなかった気がする……


綺麗な白いお花畑で優しい笑顔のあなたは誰?