あなたと出会ったあの日私は付き合ってた人にふられた。


朝起きた日に雨が降っていたからすっきりした気分だったんだ。


今なら病気のことも何もかも彼に伝えられると思った。




「一緒にがんばろう」


なんてお決まりの台詞を彼が言ってくれると本気で信じていた。



一緒に病気と闘おう






ずっとそばにいるから



そんな台詞はあったとしても慰めにしかならないことを教えられた気がした。


帰ってきた台詞はドラマでいえないようなひどい言葉だった。


雨が二人の間で降っていることがせめてもの沈黙をさえぎるすべだったのかもしれない。


ひどい失恋をした後の雨はやさしかった。

「なんだよ」

って意味もなくきれたい衝動に駆られたけど八つ当たりだってわかった。

私の涙も雨が隠していてくれていたから。






「傘持ってないの?」
そんな言葉が不意に後ろから聞こえた。
振り向くとやさしい笑顔をしたあなただった。