彼女はその一ヶ月後、静かに息をひきとった。



雨もまた彼女の死を泣くように静かに降っている夜だった。




やはり葬式も雨だった。



手をのばせばひつぎの中にきみはいる。


でもどうしてもそこにいないような気がした。


もっと違うところ…



前に行った海で元気に遊んでいる気がするんだ。



葬式がおわると車を走らせて海に向かった。



やはり人は誰もいなかった。


君のはしゃぐ幻が見えて無性に涙を誘った。


葬式は泣かなかった。


重苦しくて縮こまって


君は鳥のような人だったから


らしくないと思った。




「可代………」



俺の中に羽を休めていたとりは今旅立った。



涙が頬を伝う


雨はいつもよりも優しく感じた。




君は僕に出会った日一人でこんな風に泣いていたんだね



一人はやっぱり淋しいね