最後の雨

だから言って?




「あと・・・一ヶ月だって・・」


恭介はうなづいたままそういった。



彼にとってその言葉はどのくらい重みがあるのか。


彼がそれを聞いて時どんな気持ちだったか。


そう考えていた。



私はあなたにこんな悲しい思いをさせるために好きになったんじゃないのにって・・・。





「そうなんだ・・。つらかったでしょ・・。私は大丈夫。」



そういって恭介の手を握ることしかできない私。



「可代は死ぬの怖くない?」



恭介は鼻声で私を見ていった。


海はまだ夕日に染まらない時間。



「怖くないわけじゃないけどね、ひとりはいやだな」


「え?」



「私が思うに、みんな『死ぬ』のが怖いんじゃなくて『一人になる』ことが怖いんだよ。」





恭介は黙っていたけどたぶんわかってくれたと思う。



死ぬのなんて痛いのは苦しいのは一瞬でしょ?


でもそれからが怖いんでしょう?


一人で当てのない旅も


つないだ手のぬくもりを忘れてしまうことも




大切なものをなくして行くことを・・・・・・