最後の雨

「先生って病院の?」


うん、と恭介はうなづいた。

しばらくの沈黙が続く。



「お願い、言って?」

私は答えを促した。


たぶん


すごくわかりきったこと


恭介がこんなにも泣くのはやっぱり病気のこと。


きっと今もこの先も


変わらないのなら言って?




「先生が・・このごろ可代のガンが侵攻していてもう手術じゃ間にあわないほどガンが転移しているって・・・・」



私はため息も、ショックも、なにもかも捨てたようにそれを聞いてた。



悲しいくらい現実は音もなく私たちの間に土足で踏み込んだ。




「わかった・・・。恭介、後私はどれぐらい生きられるの?」



これを聞くのは酷なことだとわかっていた。



それでも私はあなたの口から言ってほしかった。



あなたが言わなきゃ私の中では真実じゃないんだ。