私はあなたに出会ったあの日泣いていたね。


校庭の端っこで雨に濡れた私に無言で傘を差し出したあなたは笑顔だったね。


全然いやな笑顔じゃなくて素直に受け入れられた。


その笑顔にその先何度も救われるなんて思いもしなかった……





朝おきると雨が降っていた。億劫な感じで私は病室の窓にうつる雨をみると、ベッドから上半身を起こした。



ふと隣で椅子に座りながら寝ているあなたを見た。

あなたの右手はちゃんと私の左手を握っている。


この温もりがいつかは……

その考えを私の心が拒絶する。

いつかはそのときがくるんだよね…



電気もついていない雨の日の病室は全体的に青白くて、私の心の中みたいだった。



「あれ、可代起きてたんだ」


しばらくして恭介が起きてきた。

暗い病室に光りが灯るようなその笑顔は私の掛け替えのないたからもの。

「うん。今日も雨だね」
「そっか…可代寒くない?」
「うん…」

そこで会話が途切れ、二人は自然に窓の外を眺めた。