「私は森谷由香です!中学校でもマネージャーをやっていました。まだまだわからない事もあるけど、よろしくお願いします!」
…何でこいつが?
由香はサッカー部のマネージャーになった。私1人しかいなかったから、顧問の先生もすぐOKした。どうせ、翔太目当てだろうけど。

ピー!

試合開始のコールがなった。

私はぼんやり試合を眺める。
やっぱり、1番翔太が上手。
「いやぁー♡翔太君ったらうまいじゃないの!さすがね~。」
「…。」
由香は私の隣にきて座る。
なるべく、由香から離れておこう。そう思った時。
由香が思わぬ行動に出た。
私から離れて何か怪しげな表情で、いきなり部活用の道具をいっぱい持ち、上の階段から…………飛び降りた⁉
「きゃぁー!」
由香はおおごえ叫んだ。
それと同時に試合も中断。


「ゆ、由香ぁ!」
私は駆け寄った。
階段は10段。段差が大きいからかなり高い。
「由香⁉しっかりして!」
私は由香を起こそうとした。その瞬間…
「夏海、どけっ!」
「へ?」
「由香生きてるか?」
翔太はそう言って、由香をかるがる持ち上げた…。そして保健室へ。速い
。試合で疲れてるはずなのに…。あんなに速く走れるなんて…。

私も保健室へ向かった…。





ガラ、
「…翔太?」
「?…夏海か」
「……由香は…どお?」
「まだ…意識が。」
「……そっか。早く意識戻るといいね。」
「ああ。」
保健室は私と翔太だけ。
長い沈黙が続く中、翔太が話を切り出した。
「またかよ…」
「ん?どうした?」
「もう…うんざりだな。」
「え?」
「俺、父親なくしてるだろ?その時思ったんだ。人が1人死ぬ事がどれだけの悲しみになるかって事を。その悲しみは大きかった。だから、もう大切な人を失いたくないって思った。」
そう。翔太の父親は二年前に亡くなった。
「翔太…」
「だからさ…お前も…俺のそばからいなくならないでくれ。」
「……ぅん」
「約束な。」

約束。するよ。絶対。
約束は守るからね。
でも…私には守れなかったんだ。