翔太とは同じクラスで席も近い。まぁ…隣なんだけど。

「夏海さっきはありがとな。すごく助かった。」
「どーってことないよ♪ただ私は翔太の為にしただけ。」
私は翔太と話していると、私に話しかけてきた子がいた。
「えっと…春瀬さん…だよね?」
え?
「…は、い」
その子の印象は美人。可愛いはもちろんだけどとても綺麗。モデルにいそうな…素敵な人。ストレートセミロングに個性のあるメイク。スタイルもよくて…ショートヘアの私とは大違い。
「春瀬さん!私、春瀬さんの後ろの席の森谷由香といいます!よろしくおねがいします!」
「森谷さん。あ、由香でいい?私は夏海でいいから。」
「はい!」
その子の笑顔は可愛い。
「…」
由香は翔太を見つめている。
「由香?紹介するね。こいつはー私の幼馴染の香川翔太!」
「翔太くんですね。」
「え、あ、おう」
翔太はそわそわした感じ。感心なさそうに。私は小声で翔太に言う。
「ちょっと!翔太!その返事は何よ?せっかく新しい友達が出来たのに…その態度はぁ!」
「うっせーよ」

「ご、ごめんねー。冷たくて…」
「あ、いーの。」
由香は照れてるのか苦笑いしてるのか、変な表情を見せる。

下校時
「翔太ー、何で朝あんな由香に冷たかったの?」
「あ、冷たかった?そんなつもりはねーんだけど。」
っもう。翔太は、本当感心ないよね。そういうトコがだめなんだ。
「…あのさ。俺…やなんだよね。あーいう奴。」
「へ?」
「だから…森谷って奴?あんな感じの女嫌い。ぶりっ子っていうか、いちいちうるせぇんだよな。迷惑だし。」
うそ。翔太って、そんな事思ってたの…?嘘だ。翔太は優しいよ。凄く。小学校、中学校の頃は女子に話しかけられても笑顔で…本当に優しくて。だから頼れるの。
私はおそるおそる聞く。
「…過去になんかあった?」
「え、何で?」
「だって…そんなん、翔太じゃないもん。」
「何でわかった⁇」
「そりゃーわかるよ…幼馴染だし」
え?涙?私…なぜか涙が出てきた。何で泣いてるんだろ。
「ありがとな。って…何で泣いてんだよ⁉」
「え、あ、う…。何でかな…。翔太の事思うとか…心配になると…涙出てくんのかなぁ」
わっ!?
一瞬怖くて目をつむった。目が開かず…。甘くていい匂いだけが私の鼻にくる。なんだろう。
私…翔太に抱きしめられてる…?
「お前の泣き顔なんて見飽きた。それに心配すんな?対したことじゃねーし。お前が泣くのも…俺…嫌なんだよ。だから泣くな。」
翔太…。
「しょうたぁぁぁ!」
うう!なんで、なんでよ?何でそんなやさしくすんのぉ?ヤメテよ。私が…もっと泣ける。凄く嬉しいよ。

私は翔太の胸の中で泣く。
早く泣き止まなきゃ!翔太に迷惑だ!
「翔太…もう、いいよ」
「…」
「翔太?もう泣き止んだから、」
「…」
「ねぇ?翔太っ!」
「…お、俺…」
え?翔太…震えてる。声が震えてるよ。何?
「俺…さ。中3の頃、ひどいめにあってさ。」
「え?なに!?聞こえないよ」
「聞こえなくていい。俺さ…中3の頃な、女に告られて、付き合ったんだ。中3の六月で…お前にいってなかったよな?クラス違かったから言えなくて…その女にまんまと惑わされた。」
よく聞こえないけど…翔太が辛い思いをしてたってことが分かる。
「っま。そんな気にすんな。続き言わないけど、あーいう気軽に話しかけてくる女はやなんだよ。」
すると、翔太は私を離した。
「…翔太。ごめんね。守ってあげられなくて、私、翔太の為ならなんでもする!翔太が辛い思いするなんてやだもん!これからはなんでも相談して?」
「ぷっ。お前可愛ーなっ。行くぞ、」
「⁉人の話聞いてたぁー?」
翔太の力になりたい。それだけが私の心の中に浮かんだ。
でも…女って誰なんだろう。翔太と付き合ってた人は誰なの?気になる。