「うわー…びっくりした」 「ったく、前見て歩けよ」 「ありがとう、ひーちゃん」 にへっと締まりの無い顔で笑うと、「そうだっ!」と何かひらめいたように俺の手を握ってくる。 「こうしたら転ばないよね」 「……そうだな」 男女が手を繋ぐって、もっとロマンチックなもんだと思ったけど…まあ、いいか。 「よし、行くぞ」 ぶっきらぼうに呟いて顔をそらすと、俺はそのまま百花の手を引いて歩き出した。