「ねえねえ、ひーちゃん」

「うん?」

「宿題やってきた?」

「………あ、忘れた」



机の上にプリントが置かれたままだったことを思い出し、憂鬱な気分になる。



「先生に怒られるよー」

「……めんどくせーな」

「またそんなこと言って

 るっ、て、わわ!」

「……!」



俺を覗き込むように見ていた百花は、足元の小さな段差につまずいた。


とっさに腕を掴み、グッと自分の方に引き寄せる。


その軽い体は俺の腕の中にすっぽりとおさまった。