神龍と風の舞姫

不思議そうに紙切れを見つめていたしるふに

「朝早く起きてきてね、どこかに行っちまったんだよ。で、嬢ちゃんが起きてきたらこれを渡して欲しいって」

じゃあ、食事が冷めないうちに食べちゃいな

そう言い置いて、おばさんは仕事に戻る

「変なの」

取り残されたしるふは、席について紙を広げる

書かれた内容はたった一行

『街のはずれの湖に居る』

湖…

昨日帰り道に見つけた湖のことだろう

でも、どうして海斗がそこに

そもそも海斗がこうして誰かに伝言を頼むことは珍しい

ふらふらと一人そこら辺に出ていくことはあってもそこにしるふを呼ぶことはない

釈然としないまましるふは食事をするために木製のスプーンを手に取る

温かいスープを飲みながら空いている方の手で紙を裏返してみる

どこからどうみてもただの紙切れだ

あぶり出しとかこったことがしてありそうもない

まあ、食事がすんだら行ってみるか

そう思ってしるふは本格的に朝ごはんを食べ始めた