神龍と風の舞姫

「お前、その女こっちに渡しな」

パイヤーの中心事物だろうか、がくいくいと人差し指を自らの方に曲げる

随分と図が高い輩だ

海斗の心の声に反応するように耳元でふっと笑い声が響く

どうやら白眉のようだ

「別にこいつをお前らに渡さない理由はないんだが…」

なにせ知り合いでもないし、巻き込まれた口だ

が、

「個人的な理由と女一人に多勢で来るお前らが気に食わん」

ついでに渡す理由もないしな

ふっと海斗が口角を上げた、そこまでは認識できたような気がした

後はそれぞれに顔や腹に衝撃が襲って来ただけだ

うまき声とともに地面に伸びる数人の男どもに

「見度ほど知らずにもほどがある」

そう言い置いてはらりと麻色のマントをはためかせる

「すごーい!!さすが!私が見込んだだけあるわー」

ぱちぱちと手をたたきながらうれしそうに少女が笑う

「人を巻き込んでおいていい気なもんだな、」

これで満足か、そう続けようとした海斗の言葉を遮り

「あ!!やばい!!列車出ちゃう!!」

ポーと汽笛を鳴らし始めた汽車に気が付き、少女は焦りだす