しかも魔族とわかるなら普通、海斗の放つ気に恐れおののくはずなのにその少女は変わらず笑顔を向けてくる
すっと探るように瞳を細めて、彼女は海斗の後ろに視線をやる
その視線が物言わず何かを告げているようで、海斗は居心地の悪さを感じた
「…じき月が隠れる。その前にここから去るんだな」
海斗の言葉に今気が付いたように空を見上げた少女に背を向け、元来た道を戻る
先ほどまでさんさんと輝いていた月は、満ちてきた雲にその姿を隠そうとしている
月が隠れれば、眠っていた夜の住人が動き出す
それを警告しての言葉だが、あまりにもそっけなさ過ぎて置いてきぼりを食らった少女は、森に消えていく背に視線を投げることしかできなかった
それがしるふとの出会い
それで終わると思われた
すっと探るように瞳を細めて、彼女は海斗の後ろに視線をやる
その視線が物言わず何かを告げているようで、海斗は居心地の悪さを感じた
「…じき月が隠れる。その前にここから去るんだな」
海斗の言葉に今気が付いたように空を見上げた少女に背を向け、元来た道を戻る
先ほどまでさんさんと輝いていた月は、満ちてきた雲にその姿を隠そうとしている
月が隠れれば、眠っていた夜の住人が動き出す
それを警告しての言葉だが、あまりにもそっけなさ過ぎて置いてきぼりを食らった少女は、森に消えていく背に視線を投げることしかできなかった
それがしるふとの出会い
それで終わると思われた

