神龍と風の舞姫

今、目の前で消えて言った少女もその犠牲者だろう

きっと眠る本性を呼び起こされ、必要なデータだけを取られて捨てられたのだ

小さな体では本性を受け止めることはできない

普通の暴走よりも早く死に至る

だからそれほど被害は出ないだろうと踏んで

そのうち死ぬから自分たちのことがばれることはないと踏んで

まるで機械のように

使えなくなったら、用がなくなったら捨てて新しい実験体を持ってくる

そうやって彼らは必要なデータを集めているのだ

彼女の最後に見せた悲しげな瞳が思い浮かんで、しるふはぐっと唇をかんだ

せめて人間として死ぬことができた彼女は報われただろうか

海斗が焼き尽くしたのは彼女の体に眠る本性のみ

でも、海斗が言った通り、彼女はすでに本性に食い尽くされていた

もう、手遅れだったのだ

いくら海斗でも助けることはできない

だからせめて最後は人として死ねるように本性だけを焼き尽くしたのだ

そうわかってもいても、なぜという思いとやるせなさは消えない