神龍と風の舞姫

煌びやかな衣装も髪飾りも、メイクも何もいらない

型にはまった踊りなんて大嫌い

気の向くままに、心の思うままに、その時一度しかない舞を舞う

風に乗って、風を操って、花びらが舞うように儚く

そして、また舞い上がる


夜の静まり返った街の中心部ー

噴水が吹き上がる音だけが響く中、月光に照らされてしるふは舞っていた

タンっ、タッタン

軽いステップの音が石の床をたたく

まるで彼女にだけ音楽が聞こえているようにリズミカルに、迷うことなくふわりと舞い踊る

しるふは本当は人前で踊るのが好きではない

踊らされているような気がするからだ

自分の好きな時に好きなように舞う

それがしるふのスタイルで、大会に出るのは旅の資金稼ぎが目的だ

人から評価されるのも好きじゃない

優劣なんてつけられないもの

だからいつもこうして誰もいない夜に静かに舞う

でも、いつもただ一人、見物客がいる