神龍と風の舞姫

目の前に現れたのは、首が三本ある龍

体色は青というより紺色、濃紺にちかい

体のいらるところがとげとげしていて、本性の海斗とは見た目も雰囲気も全く違っていた

187センチある海斗の何倍もの大きさの龍を、海斗は怖がることなく見上げる

「お前たちにしてみれば、少しの間かもしれないが、俺たちにしてみればもう何十年も前のことだ」

首をもたげて見下ろしてくる龍の真っ黒い瞳と視線を合わせる

「そさな、もうあれから50年。お前も大きくなるわけだ」

海斗の返答に面白そうにくくっと喉の奥で笑って、テレパシーのように頭に直接響いてくる声で龍は返した

この龍はここら辺を住処とする神

つかさどるのは天候

つまり雨を呼んだりできるわけだ

ある地方では、収穫祭の時に来年の豊作と今年の御礼のために祭り上げたりしている

神々の寿命は、神龍族のそれよりはるかに長い

神龍族だって力の差によるが1000年近く生きる

神にとって100年も生きられない人間はとても脆弱で、1000年ほど生きる神龍族、ほかの力を持った種族は、まーそこそこ記憶に残る者たちという認識だ

人間なんて瞬きしている間に死んでしまうように儚く、あっけなく居なくなってしまう

それに彼らは神を本心では恐怖している

その力に怯え、その姿に恐れをなす