神龍と風の舞姫

「すみませーん、エントリーお願いしまーす」

街の中心部に近いところに大会の申込所が設けれていた

受付をしているのがひげを生やした見た目ごっついおじさんだったことに、内心苦笑しながらも、しるふは元気よく受付に笑顔を向けた

「あいよ、嬢ちゃんこの町の人じゃないね。旅の人かい?」

しるふに申し込み用の紙を手渡しつつ、おじさんは人当たりのよさそうな声で話しかけてくる

「ええ、大会が開催されるって聞いてやってきたのよ」

「ほう、それは熱心なことだな。どこから来たんだい?」

「セントランド」

申込用紙に性別、名前を書き込みつつ、しるふは答える

名前のことろには、もちろん本名なんて書かないけれど

「ってことは、あれかい。山を越えてきたのかい?」

「ええ」

驚いた様子のおじさんに紙を手渡しつつ、しるふは笑顔でうなずく

「ほー、それはそれは。あの山は山賊は出るわ、野生のオオカミは出るわ、なかなか危ないところなんだが、嬢ちゃん勇気あるねー」

感心したようにうなずくおじさんに、

「ま、ね。世界一強い用心棒がついてるから」

と、いたずらっぽい笑みを返す

「はははは。世界一か、そりゃ相当心強いわけだ」

豪快に笑いつつ、おじさんはしるふに番号の書かれた札を渡す