神龍と風の舞姫

「こんなとこで何してたんだ」

森を見回しつつ尋ねる海斗に

「ん?ちょっとね、情報収集なんぞを」

少し照れたようにはにかみながらしるふは答える

「情報収集?」

しるふの言葉に海斗は怪訝な顔をする

「うん、最近誘拐?事件たくさん起きてるじゃない?海斗その事件に興味持ってたよね?だからただの行方不明事件じゃないんだろうと思って、時間もあるし風たちに聞いてたの」

しるふの返答に海斗は、ふーんと納得したようなしてないような返事をしつつ、森の出口に向かって歩き出す

その背に追いつき、並んで歩く

海斗は森に好かれる

森の精霊たちは海斗を好み、道を開け、光を差し込ませてくれる

人々には恐れられる海斗も、森や動物からしたら困った時に助けてくれるいい人だ

「そうだ、これ」

思い出したようにA4ほどの紙切れ一枚を差し出す海斗

海斗からその紙を受け取り、歩きながら読む

「踊り子大会?ここ山を越えたところの街じゃない!しかも開催は一週間後」

グットタイミング!

とうれしそうに紙切れを見つめる

「ちょうど資金もほしかったことだし、時期的にもばっちりだし、これは出るしかないね」

そう海斗に笑みを向けながらしるふは言う

「そういうと思った。明日の午前中にでも荷物まとめて出発だな。あの山は天気が気まぐれに変わるから余裕を持った方がいい」

そういう海斗に、うん!と元気よく返事をしつつ、しるふの頭の中はすでに踊り子大会のことでいっぱいだった