この状況で日々下町のおじさん叔母さんと値切り交渉を展開しながら下々と待っているけなげな自分をいたわってほしいと本気で思う今日この頃である
(先に行くって言ってもなー、この先には大きな山があって山賊は出るし獣はたーくさんいるし、気が休まらないわー)
そんな危険を冒して先に進むくらいならちょっとひもじい思いをしてでも海斗を待って一緒に行った方がはるかに心身的疲労が少ないと確信があるので、未だに宿は引き払っていない
「おじさん、あんまり優しくないとお客来なくなるわよ。ここはどどーんと太っ腹でまけてよ」
にっこり営業スマイルで食べ物の入った籠を抱えながら首をかしげる
「いやー、そういわれてもねー。こればっかりはねー]
豊かなあごひげを撫でつつ、店主は渋い顔をする。
「もー、こんなかわいい女の子が目を潤ませて頼んでるんだもの、あと一歩踏み出してくれてもいいじゃない」
すでに店の前に足を抱えるようにして屈んでいるしるふは、少し頬を膨らませて店主を見上げる。
真っ白なワンピースが、首にかかっている深海を思わせるブルーのペンダントをより一層輝かせている。
しるふの瞳はそのペンダントよりも薄く透き通った青である。背中まで伸びるブラウンの髪は先が少しカールしていて、風が吹くとふわりと香りを伴って柔らかくなびく。
(先に行くって言ってもなー、この先には大きな山があって山賊は出るし獣はたーくさんいるし、気が休まらないわー)
そんな危険を冒して先に進むくらいならちょっとひもじい思いをしてでも海斗を待って一緒に行った方がはるかに心身的疲労が少ないと確信があるので、未だに宿は引き払っていない
「おじさん、あんまり優しくないとお客来なくなるわよ。ここはどどーんと太っ腹でまけてよ」
にっこり営業スマイルで食べ物の入った籠を抱えながら首をかしげる
「いやー、そういわれてもねー。こればっかりはねー]
豊かなあごひげを撫でつつ、店主は渋い顔をする。
「もー、こんなかわいい女の子が目を潤ませて頼んでるんだもの、あと一歩踏み出してくれてもいいじゃない」
すでに店の前に足を抱えるようにして屈んでいるしるふは、少し頬を膨らませて店主を見上げる。
真っ白なワンピースが、首にかかっている深海を思わせるブルーのペンダントをより一層輝かせている。
しるふの瞳はそのペンダントよりも薄く透き通った青である。背中まで伸びるブラウンの髪は先が少しカールしていて、風が吹くとふわりと香りを伴って柔らかくなびく。

