「…!つ、冷たっ!!!!」

ばしゃん、と余りの水の冷たさに、勢いよく跳ね起きる

「…っー。百足、苦手なのー、……?」

もう百足はいないだろうかとうすら目を開けると

そこは満月輝く夜ではなく、昼だった

まぶしさに無意識に目を細める

「……え、」

そして、

「ええー!?」

湖のほとりに座る少女が一人

その顔は、見るに見慣れた自分のそれと、瓜二つだった



「…」

「どうした、海斗」

パチパチと音を立てて燃える炎の横でふと真っ暗な森の方に視線を移した海斗に、

姿を現した白眉が問いかける

「…、いや、なんか嫌な予感が」

したような、しないような

こういう時の自分の勘は無下にはできない

「そう言えば今日は満月だったな」

この静かな森で何かあるとすれば、それは今は隣に居ないあの少女だろう

これは様子を見に行くべきか、と思案していた海斗に白眉が、空を見上げながら告げる