神龍と風の舞姫

「この3年間、大きな事故・事件のことはすべて調べた。そのすべてにあいつは関与していなかった。知れが何よりの救いだよ」

もし、海斗が力を暴走させたのなら相当大きな被害が出る

だから爆発や多数の犠牲者が出た事件のことはすべて調べさせた

海斗の暴走によるものではないことを切に祈りながら

どこで何をしているのかはわからないが、元気でいてくれればそれでいい

たまには無事なら無事だと手紙でもいいから送ってきてほしい

そうすれば王宮の全員が少し安心するし、国民だって喜ぶだろうに



「ヤブキ、ルノアとユザを呼んでくれるか。頼みたいことがある」

長年つかえてきたこの男は、優しさと威厳を持ち合わせた素晴らしい王だ

彼のためになら縦になって命を落としても構わない

そう思わせるほどに

けれどそんなことこの男が許すはずがないということもヤブキはよく知っていた

そしてできることならば彼が作り上げた国の体制を息子二人で守っていってほしいというのが家臣3人の意見だ

雪斗は信次譲りの温和な(けれど怒らせると怖い)性格で、海斗は策士として優秀だ

そして二人とも喧嘩は好まない

この二人がお互いを助け合っていけばこの国はもっともっと良いものになるだろう

だから海斗には帰ってきてほしいのだ

もちろん自分の意志で

「畏まりました」

信次に向かって低頭しつつ、ヤブキはそっと息をついた