神龍と風の舞姫

「今の今まで我々の手から逃げていたお前が、ここに何しに来た?そろそろ我々の仲間になる決心でもついたか?」

「ばかなことを言うな。お前らの仲間になるくらいなら死んだ方がはるかにましだ。お前こそ、ここでその魂ごと焼き尽くしてやろうか」

ふっと口角を上げて笑う海斗に危険を感じたのか、再び護衛たちが臨戦態勢を作る

「ふむ。生きたまま仲間にしたかったが、こうも断られてばかりだと我らが弊害となろう。ここで絶やしておくのも宿願のためか」

豊かなひげを手で撫でながら今度は護衛たちを止めなかった

「自分を守る護衛すらも宿願とやらのための捨て駒にする気か」

「何を言い出す」

くっく、と喉の奥で笑う老人の目は笑っていない

「というより、その護衛たち自身が実験体か。そいつらに魂はない」

顔を見ることはできないけれど、崖の皮をはいだらきっと全員怖いほどに同じ顔をしているのだ、きっと

「さすがだ、海斗。そう、彼らは現段階での最強にして最終形体。どこまで戦えるかは知らんがな」

「随分と利口な護衛だな。珍しく学習能力でも入れたのか」

護衛たちが海斗の言葉に反応しているのは珍しい

ただの動く兵器が作れればそれでいいのかと思っていた

思考など無駄なものだと