神龍と風の舞姫

「肩の線が三本。巨人族王族の重臣だ」

海斗の言葉にふと肩辺りをよく見ると、確かに高価な糸で編まれた三本の線がある

「重臣って強いんじゃないの」

それがたった一撃で絶命している

そのことにしるふは海斗のマントを掴む手に力を込める

しかも重臣は王のそばを最後まで離れないはずだ

「突然の襲撃に応戦したはいいものの、反撃できずに王宮の奥まで攻められた、ってとこか」

廊下の角近くに倒れていた兵士たちはバラバラな場所に倒れていた

編成すら建てる暇がなかったのだろう

文字通りの襲撃だったのだ

途中からある程度編成を組めたようだが、どうやら相手の攻撃力は圧倒的だったらしい

しかも進むにつれて傷の数が減っている

まるでどこが致命傷になるのか、どこが効果的なのか調査していたように

気に入らない

王宮の最奥、その扉の前で弾丸一撃で絶命した重臣を見下ろし、海斗はふと瞳を細める

でも、そういうことを平気でするのが、あいつら、だ

彼らにとって目的のために失われていく命など、ただの実験材料でしかない

必要な犠牲と言い切るのだろう

いや、犠牲とすら呼ばないかもしれない