―週末―

『もう、悠生早くしてよ。』

『ちょっと待てって。』


たく、なにカッコつけてんのよ。


『もう行くからね。』

『へいへい。』


柚華の家までは私の家から、20分くらい離れている。

『なぁ、まだ?』

『もう、じゃあ帰れば?』

『…やだ。』


悠生が断らない理由がわかった。
それは、悠生は大の甘いもの好きだから。

これには少し笑っちゃったけど。


―ピンポーン―

『柚華ー。』

『え、柚華ってあの有名な柚華先輩…?』

『は?いや、知らないけど。』


柚華って有名なんだね。

『あ、いらっしゃい。どうぞ♪』


優しそうなお母さんが迎えてくれた。
リビングに入るとあまーい香りが迎えてくれる。

『あ、葵衣いらっしゃい♪初めまして、弟くん。青山柚華です。』

『やっぱあの柚華先輩じゃん。』

『柚華って有名だったんだ。』

『え、そうなの?』


しらないよね。笑


『おにいちゃーん、友達来たよー。』

『おー、今いく。』


柚華のおにいちゃんてどんな人なんだろ。


『初めまして、柚華の兄の青山陽向です。』


カッコいい……。


『…おい、てめ、なんで見とれてんだよ、』

『は?見とれてないし。あ、柚華の親友の松永葵衣です。』

『悠生っす。』

『葵衣ちゃん可愛いね。さすが柚華が言うだけあるよ。悠生くんもくつろいでね。』

『お兄ちゃん大学生なんだよ★』


柚華、陽向先輩のこと大好きなんだ。

『ケーキ食べよう。』


ケーキを食べはじめて数十分。

『葵衣ちゃん、ちょっといいかな?』

『…?』

『アド、交換できない?今後も会いたいし。』

『え!』

『…ダメ?』

『いや、全然いいです!陽向先輩。』

『先輩何てやめてよ。』

『じゃあ、陽向くん?』


そう言うと陽向先輩は笑ってくれて、私も嬉しかった。


『………』

このときの悠生の不機嫌な顔に気付けなかった。