「はぁ……、彌丹、あれから、大丈夫だと良いけどな…。」






「…………また、それ?もう誤ってしまったことを、後悔しても、もう遅いじゃない…。
だから、今とちゃんと向き合って、ね?」






「………………何だよ…それ…。」






だんだんと苛立ちが湧いてくる。






「えっ……?」






「ふざけるな!!!」






「っ!」






ビクッ、と緋里が、肩を揺らす。
目は、悲しみで満ちた目をしている。






「何だよ、もう彌丹は、家族じゃないって言い方して!
今は離れてるけど、家族なのには、変わりはない。そうだろ!?」






「……………だよ。」






「っ………?」






緋里が、肩を震わせながら、服を手で、握りしめている。





「朱ちゃんだよ!!
『駆け落ちしよう。』って言ったのは!
私が言ったみたいな風に言って!!
あの時、一番ふざけてて、彌丹を家族じゃないと思ってたのは、朱ちゃんじゃないの?!」





「!!!」





「私だって、家族と離れるのは、辛かったよ!
でも、朱ちゃんと居たいと想ったから…
朱ちゃんとなら、二人だけでも生きていけると想ったから、
離れるのは辛いけど、駆け落ちしたのに…!」





緋里が正答だった。
確かにあの時、俺は、彌丹を家族と思ってなかった。
………悪人と思ってしまった。
俺と緋里を引き離す、最低な悪人だと。





一番の悪人は、俺なのに。


そして、緋里となら、二人でも生きていけると想ったのに……





あまりにも、後悔し過ぎて、大切なことを見失っていた。





緋里に対する、俺の気持ちを。