あの、メールを送った日から私は意図的に伊勢谷くんに会わないようにしてしまった。と、言っても、朝の電車の時間をずらすくらいしかしていない。もともと伊勢谷くんは朝練があるし、部活がないのは雨の日だけだ。しかもあの日から雨は一度も降っていない。だから私は朝の電車さえ変えてしまえばもう、伊勢谷くんに会うことはなかった。

 一方で園ちゃんとは同じクラスだし、毎日顔を合わせていた。私は基本的に梓といるけれど、それに園ちゃんが混じったりと、私たちは以前と同じように過ごす。だけどなぜか園ちゃんも私も、伊勢谷くんのことについては一切話さなかった。

 いや、話せなかったんだと思う。

 園ちゃんは園ちゃんで約束の日を思って緊張していたのだろうし、私は私で、園ちゃんと伊勢谷くんの話をする気にはなれなかった。