『もしよかったら、どこか出かけませんか?』
出かけるのは私じゃない、とはわかっていても何となく気恥ずかしい。私はメールを送ってすぐに枕に顔をうずめた。
それからまたすぐに、携帯のバイブ音が聞こえる。どうやら伊勢谷くんはかなりメールの返信が早いようだった。まるで梓とメールしている時のように早くてびっくりする。
『大丈夫だよ。とりあえず10時に駅前待ち合わせで、どっかぶらぶらする感じでどうですか?』
『大丈夫です、じゃあ土曜日に』
手はもう震えていなかった。何かを諦めたのだろうか。簡単にボタンを押せるようになってしまった。
私はそのあとすぐに園ちゃんにメールを送る。伊勢谷くんと約束を取り付けたことに関するメールだ。

