もう一度、今度は自分に言いかけるようにそう呟いた。私の指はなかなか動いてくれなかったけれど、それでもなんとか動かして送信ボタンを押す。画面には「送信しました」という文字が映った。
送った。……送っちゃった。
もうあとは伊勢谷くんの返事を待つしかない。それ以外に私にできることはない。
伊勢谷くんからの返事は想像よりもずっと早く来た。たぶん私がメールを送ってから5分と経っていないだろう。
『土曜なら大丈夫だけど。どうかした?』
私はしばらく携帯の画面をじっと見つめる。送ってしまった時点で後戻りはできないのだと、そう自分に言い聞かせてまた、指を動かした。

