あまごい


 園ちゃんの幸せを願って。園ちゃんとの約束を破ることなんてできなくて。それで伊勢谷くんも幸せになれるならいいと、思ったはずなのに。

 私は携帯を持ち直す。そして添付ファイルを見る前に、伊勢谷くんのメールへの返事を作り始めた。

 「『写真、ありがとう。ところで急なんだけれど、今週末の土日とか、空いていませんか?』って、笑えるなあ」

 でもそれ以外に文章が出てこない。……こんな風に誘ったことがまず、ないから仕方ないのだけど。

 「とりあえず、送ろ」

 そう言うことによって、送らなければいけないという使命感が芽生える。でも、手が震えていた。なんでだろう。わからないけれど。

 「……送ろう」