「どうしよっかなあ」

 私は携帯を握り締めたままベッドに横になる。そして、思いついてしまった。簡単に、約束を取り付ける手段を。

 「ああ、そっか」

 携帯を握っていた手を、上部につき出す。それが何かを表す行為、というわけでもなかったが、なんだか力が抜けてしまって、上げていた手をゆっくりと下ろした。

 「メール、すればいいのか」

 簡単なことだった。思っていたよりもずっと。

 何より、タイミングが良すぎた。もしかしたら伊勢谷くんは、私の事情を全部知っていたのでは、と疑いたくなるくらいに。

 「これも神様からのお達しかな」

 苦笑いだった。