ダメだ。私ってほんとに、ダメな人間。

 私は勢いよくベッドに倒れこむ。湿った髪がひどく鬱陶しい。でもそれ以上に、ほとんど濡れていない右肩が寂しくて仕方がない。

 「もぉっ」

 小さく声を上げるしかなかった。後悔するしかできなかった。

 私は結局、約束を取り付けることができなかったのだから。

 今日の帰り。私と伊勢谷くんはほとんど会話をしなかった。それが私の醸し出す沈んだ空気のせいなのか、それともいつもより開いた距離のせいなのかはわからなかったが、なんとなく重たい空気だったのは勘違いではないと思う。