ダメだ。私ってほんとに、ダメな人間。
私は勢いよくベッドに倒れこむ。湿った髪がひどく鬱陶しい。でもそれ以上に、ほとんど濡れていない右肩が寂しくて仕方がない。
「もぉっ」
小さく声を上げるしかなかった。後悔するしかできなかった。
私は結局、約束を取り付けることができなかったのだから。
今日の帰り。私と伊勢谷くんはほとんど会話をしなかった。それが私の醸し出す沈んだ空気のせいなのか、それともいつもより開いた距離のせいなのかはわからなかったが、なんとなく重たい空気だったのは勘違いではないと思う。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…